急いでできそこないを発表するよりは、
期日を遅らせる。
しかし、予定を遅らせるつもりはない。
マッキントッシュ開発チームの合宿で、ジョブズはメンバーをこう激励した。
「この事業部は、アップルを背負って立つ中枢部門だ。最高の人材を集めて、ほ
とんど誰もがまだやったことのないことを、やり遂げなければならない。わが事業
部は、まだ製品と言えるものを出荷していないが、それを成し遂げるのだ」
そして三つのスローガンを掲げた。
「出荷されるまでは、仕事は終わっていない」
「妥協するな」
「玄人いうものは、した甲斐がある」
発売予定日については、こう念を押した。
「急いでできそこないを発表するよりは、期日を遅らせるほうがまだマシだ。しか
し、予定を遅らせるつもりはない」
もっとも実際には、当初十二ヶ月でつくる予定だったのが延び、発売は一九八二
年十月に変わり、さらに最終的には八四年となった。ジョブズには、スピードに執
着し、「何がなんでも!」という強行突破の傾向が強いが、半面で「できそこないを
発表するつもりはない」というこだわりとのバランスも巧みにとっているようだ。
ー 出典「スティーブ・ジョブズ名語録」