不可能に思えても
目標を下げない。
上げるのだ。
ジョブズは大組織より小さな組織を好む。少数精鋭こそが本当に優れた製
品をつくるのであり、製品力があればどんな巨大企業にも対抗できると考えていた。
ジョブズは自分が創業したアップルを1985年に追放され、1996年に復帰するまでに
ネクストとピクサーを相次いで創業するが、そのネクストでも、考えは同じだった。
「ネクストは社員だけが株主となる私企業にする。親密さの感じられる小規模な企業だ」
と言っている。
だが、業界が急成長するにつれ、小規模では大きな影響を及ぼせないことがはっきり
してきた。そこでこう宣言する。
「世界はもう一つの1億ドルのコンピュータ企業を望んでいるわけではない。砂場で
遊びたいなら、それなりの規模に成長しなければならない」
そして1億ドルではなく「10億ドル」の組織づくりに着手する。それはネクストの
状況からすれば絶対に不可能なレベルだったが、こう言い放った。
「目標が不可能に思えても、我々は狙いを下げたりしない。上げるのだ」
最終的にネクストはメーカーとしては惨敗するが、ジョブズのアップル復帰の原動力
になった。ネクストの共同創業者で財務部長だったスーザン・バーンズは、こうした
ジョブズの姿勢を「挫折なんて全く考えられない」と、高く評価していた。
ー 出典「1分間スティーブ・ジョブズ」